2011年度 医療事務の資格情報日記

■ 医療事務の役割「受付業務」と「請求業務」について

組織はその業務内容によって生産部門と非生産部門とに分類されることがしばしばあります。たとえば事務職という仕事の場合は、どちらに分類されるでしょうか。おそらく非生産部門のイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。では、医療事務という仕事はどうでしょう。

明らかに事務という名称が使われていますので、やはり非生産部門とお考えになる方が多いと思います。しかし医療事務という仕事は決して非生産部門ではなく、生産部門だといえるのです。そんな医療事務の業務として受付業務は、カルテの作成などが代表的な業務となります。

受付とは来院された方が最初に訪れるため、その医療機関の第一印象を植え付けてしまうという面でも重要な部署といえます。たとえば、皆さんが医療機関を受診したときに、受付の対応が事務的で不快感を持ったとしたら、次に体調が悪くなったときに再度同じところを受診したくないですよね。

確かにその医療機関の評価は、医療事務職員の対応だけに関係しているわけではありませんが、医師・看護師など、直接医療行為に関係するスタッフも大きく関係しています。しかし、事務の対応も医療機関の評価に大きく影響するということを認識したほうがよいでしょう。

現在は患者さんが病院を選ぶ時代となっています。このような点からみても、受付業務の重要性は極めて高いといえるでしょう。

■ 経営、診療などのさまざまな医療機関の組織について

病院組織は、専門職ごとにいくつかの部門に分かれ、それぞれが連係、協力しながらチーム医療を進めています。一般的に医療事務職員は、経営部門に属する場合が多く、医事課と呼ばれる部署で勤務します。たとえば、経営部門では、医療秘書、医療事務、メディカルクラークなどが所属しており、機関内の一般事務に関する業務全般を担当します。

また、メディカルソーシャルワーカーも所属し、医療相談室などで患者さんのさまざまな相談を受けます。この部門の長である事務長は、理事長や補佐として、病院経営を担当する重要なポストです。次に診療技術部門では、栄養士、臨床検査技師、薬剤師、診療放射線技師、理学療法士、言語聴覚士などが所属します。

薬剤科については、薬剤部門として一つの部門で扱う医療機関で、薬に関する責任部門もあります。診療技術部門の従事者は、そのほとんどが国家資格の有資格者で、専門的な業務を行っています。さらに看護部門では、看護師、看護助手などが配属されています。

看護の業務には、直接的看護、間接的看護、診療補助などがあります。看護部門では、手術室や各病棟単位に分かれており、各所に看護師長が配属されています。また、その上部にはすべての看護部門を取りまとめる総婦長や看護部長がいます。

最後に在宅医療センターについては、介護保険制度の導入により、医療機関でも在宅医療センターを設置し、在宅おける医療サービスの提供を行っています。高齢化社会に向けて、在宅医療のニーズはますます高まっているのです。

■ 同じ診療を受けた場合でも算定方法によって大きく診療費が異なる

包括算定のほうが診療費が高くなってしまう場合もありますが、一概にそうとは言えません。包括算定した場合については、診療費は同じですが、医学管理等の項目に違いが見られます。包括算定で上がっている生活習慣病管理を算定することにより、そのほかの医学管理等や投薬料が算定されていないことが分かります。

この生活習慣病管理料を算定する場合は、「医学管理等・投薬・注射・検査は算定することができない」と規定されています。したがって、包括算定をした場合のほうが診療費は高くなりますが、投薬や注射の実施回数が多かったり、検査を多く行った場合などは、出来高算定のほうが診療費は高くなる場合もあります。

また、生活習慣病管理料は同一月に一回しか算定することができないことになっています。診療点数は多くの場合、同一月を一つの単位として算定することが多く、一ヶ月の合計点数を比較すると一概に包括算定をした場合のほうが診療費が高いとはいえないことになります。このように診療報酬の算定には、出来高算定と包括算定があることを理解しておきましょう。

また、どちらで算定するかは各医療機関の判断で決めることになっています。このような判断をする上で医療事務職員の役割はとても重要といえます。医師は医学のプロです。従ってすべての医療行為については医師の指示が必要となります。

当然のことながら、診療報酬の算定についてもレセプトには医師の氏名を記載して提出しますので、医師の判断といえます。しかし、医師の指示で行われた診療をどのような方法で点数に置き換えるかには、医事課すなわち医療事務職員の高度な診療報酬制度の知識が必要となるのです。ぜひ質の高い医療事務職員を目指していきたいものです。